1 薬事法で定める表示(法定表示)について
化粧品には購入された方に分かりやすいように販売名や製造販売業者、ロット番号など製品に関する情報の表示が必要です。
薬 事法では第61条に定められており、その表示は化粧品が直接入っているビンや箱(直接の容器又は直接の被包)に行わなければなりません。
■薬事法第61条
化粧品は、その直接の容器又は直接の被包に、次に掲げる事項が記載されていなければならない。
ただし、厚生労働省令で別段の定めをしたときはこの限りではない。
解説 | その他の根拠 | ||
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第一号 | 製造販売業者の氏名又は名称及び住所 | 氏名又は名称= 個人で許可を受けたときは、個人名 法人で許可を受けたときは、法人名 | 薬事法施行規則第213条 |
住所= 総括製造販売責任者がその業務を行う事務所の所在地 | 薬事法施行規則第213条 | ||
第二号 | 名称 | 「製造販売届書」で届け出た製品の名称 | |
第三号 | 製造番号又は製造記号 | ||
第四号 | 成分の名称 | 原則、配合されている成分すべて | 平成12年厚生労働省告示第332号 |
第五号 | 使用の期限 | (1) アスコルビン酸、そのエステル若しくはそれらの塩類又は酵素を含有する化粧品 | 昭和55年厚生省告示第166号 |
(2) (1)のほか、製造又は輸入後適切な保存条件のもとで3年以内に性状及び品質が変化するおそれのある化粧品 | 昭和55年厚生省告示第166号 | ||
第六号 | 薬事法第42条第2項の規定により基準が定められた化粧品にあっては、その基準において直接の容器又は直接の被包に記載するよう定められた事項 | 薬事法第42条第2項の規定により基準が定められた化粧品であって、その基準において表示することが定められている化粧品が対象 | |
第七号 | 外国特例承認取得者等の氏名等 | 薬事法第19条の2の規定による承認を受けた化粧品に限る。 | 薬事法施行規則第221条 |
《化粧品を箱などに入れて販売するときの注意点》
その化粧品を更に不透明な箱などに入れて包装すると、薬事法で定められた表示が外からは見えなくなってしまいます。そのような場合には、その外側の箱や包装紙(外部の容器又は外部の被包)にも、同様に薬事法で定められた内容の表示事項を記載しなければなりません。
■薬事法第62条で準用する薬事法第51条
直接の容器又は直接の被包が小売のために包装されている場合において、その直接の容器又は直接の被包に記載された第61条各号に規定する事項が外部の容器又は外部の被包を透かして容易に見ることができないときは、その外部の容器又は外部の被包にも、同様の事項が記載されていなければならない。
≪化粧品の成分の表示方法について≫
薬事法第61条第四号に定める化粧品の成分の表示方法については、平成13年3月6日付医薬審発第163号/医薬監麻発第220号により示されています。
■化粧品の全成分表示の表示方法について
(平成13年3月6日付医薬審発第163号/医薬監麻発第220号)から抜粋
ア | 成分の名称は、邦文名で記載し、日本化粧品工業連合会作成の「化粧品の成分表示名称リスト」等を利用することにより、消費者における混乱を防ぐよう留意すること。 |
イ | 成分名の記載順は、製品における分量の多い順に記載する。 ただし、1%以下の成分及び着色剤については互いに順不同に記載して差し支えない。 |
ウ | 配合されている成分に付随する成分(不純物を含む。)で製品中にはその効果が発揮されるより少ない量しか含まれないもの(いわゆるキャリーオーバー成分)については、表示の必要はない。 |
エ | 混合原料(いわゆるプレミックス)については、混合されている成分ごとに記載する。 |
オ | 抽出物は、抽出された物質と抽出溶媒又は希釈溶媒を分けて記載する。 ただし、最終製品に溶媒等が残存しない場合はこの限りでない。 |
カ | 香料を着香剤として使用する場合の成分名は、「香料」として記載して差し支えない。 |
上記のほか、明瞭記載義務や記載禁止事項、邦文記載について薬事法で定められています。
■薬事法第62条で準用する薬事法第53条
第61条又は第62条において準用する第51条若しくは前条に規定する事項の記載は、他の文字、記事、図画又は図案に比較して見やすい場所にされていなければならず、かつ、これらの事項については、厚生労働省令の定めるところにより、当該化粧品を一般に購入し、又は使用する者が読みやすく、理解しやすいような用語による正確な記載がなければならない。
■薬事法第62条で準用する薬事法第54条
化粧品は、これに添付する文書、その他化粧品又はその容器に若しくは被包(内袋を含む。)に、次に掲げる事項が記載されていてはならない。
第一号 | 当該化粧品に関し虚偽又は誤解を招くおそれのある事項 |
第二号 | 第14条又は第19条の2による承認を受けていない効能又は効果 |
第三号 | 保健衛生上危険がある用法、用量又は使用期間 |
■薬事法施行規則第228条で準用する薬事法施行規則第218条
法第61条並びに法第62条において準用する法第51条及び第52条までに規定する事項の記載は、邦文でされていなければならない。
2 全成分表示に関する特例とは
化粧品が直接入っているビンや箱が小さく、成分の名称ををすべて書くことができないときは、外箱やタッグ、ディスプレイカードを使って表示することができます。
薬事法施行規則では次の4点に該当するものに全ての成分が表示されている化粧品は、化粧品が直接入っているビンや袋、箱などの容器への全成分表示の記載を省略することが特例として認められています。
■薬事法施行規則第225条(化粧品に関する表示の特例)
薬事法第61条第四号に掲げる事項が次の各号のいずれかのものに記載されている化粧品については、直接の容器又は直接の被包への当該事項の記載を省略することができる。
◇第225条第一号 外部の容器又は外部の被包
〔解説〕化粧品を入れる外箱や袋などに全ての成分を表示する。
◇第225条第二号 直接の容器又は直接の被包に固着したタッグ又はディスプレイカード
〔解説〕化粧品からはずれないように接着剤やシュリンクなどでつけられたタッグやディスプレイカードに全ての成分を表示する。
◇第225条第三号 内容量が50グラム又は50ミリリットル以下の直接の容器又は直接の被包に収められた化粧品及び前二号に掲げるもののいずれをも有しない小容器の見本品にあっては、これに添付する文書
〔解説〕試供品など無償で配布する化粧品では、必要事項を記載するスペースが小さいことが多いため、添付文書で補うことができます。
ただし、その添付文書は試供品と一緒に持ち帰ることができることが条件です。
◇第225条第四号 外部の容器又は外部の被包を有する化粧品のうち内容量が10グラム又は10ミリリットル以下の直接の容器若しくは直接の被包に収められた化粧品にあっては、外部の容器若しくは外部の被包に添付する文書又は直接の容器若しくは直接の被包に添付する文書及びディスプレイカード
〔解説〕添付文書は製品と一緒に持ち帰ることができるようになっていることが条件です。また、直接の容器及び被包に、添付文書がある旨が記載されていることも必要です。
ディスプレイカードは製品に固着していなくても構いませんが、製品を購入するときに成分が確認できるように売り場などに置かれていることが条件です。
3 「製造専用」の表示とは
小分けする前の原料など、化粧品の製造販売業者又は製造業者に販売するものは、「製造専用」の文字を表示することで省略できる事項があります。
■薬事法施行規則第228条第2項準用薬事法第214条(製造専用化粧品に関する表示の特例)
≪省略できる事項≫
(1)成分の名称:薬事法第61条第4号
(2)用法、用量その他使用及び取扱い上の必要な注意:薬事法第62条において準用する薬事法第52条第1号
4 小さい容器に入っている化粧品の表示の特例とは
直接の容器又は被包の面積が小さく、薬事法で定められた事項が書ききれないときは、外箱や袋などに記載すれば、化粧品本体への表示を省略することができます。
■薬事法施行規則第228条第2項準用薬事法施行規則第211条(表示の特例)
◇規則第228条第2項準用規則211条第1項
次に掲げる化粧品で、その直接の容器又は直接の被包の面積が狭いため法第61条各号に掲げる事項を明りょうに記載されることができないものについては、次の表の上欄に掲げる法の規定によって定められた同表の中欄に掲げる事項の記載は、当該事項が当該化粧品の外部の容器又は外部の被包に記載されている場合には、それぞれ同表の下欄に定めるところにより、同欄に掲げる事項の記載をもってこれに代え、又は当該事項の記載を省略することができる。
第一号 2ミリリットル以下のアンプル又はこれと同等の大きさの直接の容器もしくは直接の被包に収められた化粧品
第二号 2ミリリットルをこえ10ミリリットル以下のアンプル若しくはこれと同等の大きさのガラスその他これに類する材質からなる直接の容器で、その記載事項がその容器に直接印刷されているものに収められている化粧品
第1項 | 他の化粧品の製造の用に供するため化粧品の製造販売業者又は製造業者に販売し、又は授与する化粧品であって、その直接の容器又は被包に「製造専用」の文字の記載のあるものについては法第61条第1号の規定を適用する場合は、同号中、「製造販売業者」とあるのは、「製造業者」とする。 |
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第2項 | 他の化粧品の製造の用に供するため化粧品の製造販売業者又は製造業者に販売し、又は授与する化粧品であって、その直接の容器又は被包に「製造専用」の文字の記載のあるものについては、法第61条第4号及び法62条において準用する法第52条第1号の規定は適用しない。 |
◇規則第228条第2項準用規則211条第2項
その記載場所の面積が著しく狭いため前項の規定による表示の特例によって記載すべき事項も明りょうに記載されることができない直接の容器又は直接の被包に収められた化粧品であって、厚生労働大臣の許可を受けたものについては、その外部の容器又は外部の被包に法第61条各号に掲げる事項が記載されている場合には、これらの事項が当該化粧品の直接の容器または直接の被包に記載されていることを要しない。
5 薬事法以外の法令による化粧品の表示の規制について
化粧品の表示については、薬事法とは別に、容器包装リサイクル法や公正競争規約により要求されている事項がありますので、ご注意ください。
例えば、表示に関する公正競争規約として次のものがあります。
化粧品の表示に関する公正競争規約
化粧石けんの表示に関する公正競争規約
歯みがき類の表示に関する公正競争規約
■化粧品の表示に関する公正競争規約第4条(抜粋)
事業者は、化粧品の直接の容器又は直接の被包(直接の容器又は直接の被包に表示された事項が、外部の容器又は被包を透かして容易に見ることができない場合は、当該外部の容器又は外部の被包を含む。)に次に掲げる事項を化粧品の表示に関する公正競争規約施行規則に定めるところにより、邦文で外部から見やすい場所に、明りょうに表示しなければならない。ただし、公正競争規約施行規則で特に定める場合においては、この限りでない。
1 種類別名称
2 販売名
3 製造販売業者の氏名及び名称及び住所
4 内容量
5 製造番号又は製造記号
6 厚生労働大臣が定める化粧品については、その使用の期限
7 厚生労働大臣の指定する成分
8 原産国名
9 公正競争規約施行規則で定める化粧品については、その使用上又は保管上の注意
10 問い合わせ先
注意:
* 本記事は1年以上前に更新された記事ですので、情報が古い可能性があります。
* 表示についての最新情報は関連省庁へご確認ください。