なぜ色がズレるのか?実例から学ぶ「認識の落とし穴」

あるお客様から「DICのこの番号で印刷してほしい」と指示をいただいた時のことです。
お客様はPC画面上のブラウザデータを見て色番号を選ばれていましたが、私たちは、実際の色見本(チップ)で色を確認します。
照らし合わせると、画面とは全く違う色でした。
結果として、実物のチップに合わせて印刷したため仕上がりは正確なはずです。しかし、お客様にとっては、「画面越しに見て決めた期待していた色」とは”違うもの”が出来上がってしまったというわけです。
こういった事は、少なくありません。
さて、この問題の本質ですが、RGB(光)とインク(色料)の違いにあります。同じ「赤」でも、モニターが作り出す赤と、物理的なインクの赤は「出自」が全く異なるのです。
挿入画像でも分かるように、同じ色番号でスマホとPCを照らし合わせていますが、見る端末や設定環境で色は違います。
画面と印刷、色が合わない4つの構造的理由
1. 色の表現方式が違う(RGB vs CMYK/特色)

AI生成画像
モニターは光を混ぜるRGB形式ですが、印刷はインクを重ねるCMYKや特色(合わされたインク)です。再現できる色の範囲(ガマット)が物理的に異なります。
2. 素材(被着体)の影響
紙、フィルム、透明PET……。シールやパッケージは素材が多岐にわたります。インクが沈むマット紙と、光を反射する光沢フィルムでは、同じインクを使っても見え方は劇的に変わります。
3. 色見本の再現限界
同じPANTONE番号でも、印刷方式(オフセット、グラビア、デジタル)や乾燥条件、表面保護(ニスやラミネート)の有無で微差が生じます。
4. 閲覧環境の「ワナ」
PCモニターの設定、部屋の照明(昼光色か電球色か)によっても色の見え方は左右されます。
印刷された色見本も同様で、保存環境や出版された版数で色が異なる・変色していることもあるため、「同じチップ」で確認することが最善です。当社では、お客様からの色番号を合わせ確認するため、当社で保管している色チップをお送りすることもあります。
色ズレを未然に防ぐ「5W2H」チェックリスト
イメージ通りの色を実現するために、印刷会社が取り組む理想的な確認フロー
項目 | 具体的なアクション |
What | 指定色が「画面のイメージ」か「実物のチップ」か必ず確認する。 |
Who | 制作部門が一次確認し、差異がある場合は営業が実物見本でお客様に確認・調整。 |
When | 入稿時および校正確認時に必ず照合。素材変更時は特に注意。 |
Where | 理想は「標準光源(色評価用照明)」の下で。無理なら同じ部屋の見比べを徹底。 |
Why | 画面はインクの再現を保証しないため。物理的な基準が唯一の正解。 |
How | 差異がある場合は実物のカラーチップを郵送し、現物で合意形成を行う。 |
How much | 郵送の手間・コストはかかるが、刷り直し(ロス)に比べれば微々たる投資。 |
印刷現場との「認識のズレ」をゼロにする仕組み
印刷工場は、原則として「渡されたチップの色」をゴールにします。そこに、お客様の期待値をのせる事が我々プロの仕事だと思っています。
基準の一元化: 顧客・自社・工場の三者が、同じ番号の「公式チップ」を共有する。
- 物理的証拠の管理: チップの現物と管理番号を紐付け、工場への指示書に写真を添付する。
- 素材別テストの推奨: 特にパッケージやシールでは、本番と同じ素材での「色校正」を標準工程に組み込む。
まとめ:小さな手間が、最高の商品を作る
画面と印刷の色は、いわば「別の言語」です。その翻訳を正しく行うためのツールが「物理的な色見本」です。
1 指定は「PANTONE番号 + 実物チップ確認」をセットに。
2 校正時は「画面は参考、実物優先」で。
3 重要な案件ほど、小ロットの色校正を惜しまない。
この数分、数円の手間をかけるだけで、色トラブルのほとんどは回避できます。お客様に「想像以上の仕上がりだ!」と喜んでいただくために、確実な色管理のステップは重要です。
また、印刷会社にとっても、お客様からのクレームとなってしまう「色の認識違い」を防ぐ水際対策は、資源を無題にしないための確認として重要なのです。
私たちは、上記のような確認を心がけ、お客様と向き合っております。
お客さまのご要望に沿うためにも、ヒヤリングをしながらご注文に対応いたします。
不安なことなどもお気軽にお尋ねください。



